OLVM のデータ センターに、外部の iSCSI ストレージを 2 本の経路で接続したデータ ストレージ ドメインを作る手順です。各ホストは 2 本の iSCSI セッションを張り、dm-multipath で 1 本のディスクとして扱います。
この記事の前提
参照した公式ドキュメント
構成
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| iSCSI ターゲット | iqn.2026-10.local.lab:olvm-lun(Linux の LIO)、LUN 0:100 GB |
| ターゲットのポータル | 10.20.81.10(経路 A)、10.20.82.10(経路 B)。別のサブネット |
| ホストの NIC | ens19(iscsi-a、10.20.81.x)、ens20(iscsi-b、10.20.82.x)。ネットワークの設定手順で設定済み |
ターゲットには、各ホストの iSCSI イニシエーター名(/etc/iscsi/initiatorname.iscsi の InitiatorName)を登録してアクセスを許可しておきます。
ストレージ ドメインの作成
(1) [Storage] → [Storage Domains] を開き、[New Domain] をクリックします。

(2) 名前を入力し、[Storage Type] を [iSCSI] にします。[Discover Targets] の [Address] にポータル(10.20.81.10)を入力して [Discover] をクリックします。

| 項目 | 説明 | 設定値 |
|---|---|---|
| Data Center | データ センター | Default |
| Domain Function | 用途(Data=仮想マシンのディスク) | Data |
| Storage Type | ストレージの種類 | iSCSI |
| Host | ターゲットの検出と LUN の初期化に使うホスト | doc-olvm1 |
| Name | ストレージ ドメイン名 | iscsi-data |
(3) ターゲットの一覧が表示されます。ターゲットは、ポータルが通知するすべてのアドレス(10.20.81.10 と 10.20.82.10)で表示されます。olvm-lun の 2 行の右の矢印をクリックして、両方にログインします。

この検証環境の iSCSI サーバーにはほかの製品用のターゲットもありますが、OLVM のホストを許可していないので、ログインしても LUN は見えません。[Login All] は使わず、使うターゲットだけにログインします。
(4) ターゲットを展開すると LUN(100 GiB、#path:2)が表示されます。[Add] をクリックして [OK] をクリックします。

(5) データ センターの初期化が行われ、約 45 秒で [Status] が Up(緑の矢印)になります。最初のデータ ドメインは [Data (Master)] になり、どれか 1 台のホストが SPM(Storage Pool Manager)になります。

マルチパスの確認
各ホストで、iSCSI のセッションが 2 本、マルチパスの経路が 2 本あることを確認します。
iscsiadm -m session
multipath -ll
tcp: [7] 10.20.81.10:3260,1 iqn.2026-10.local.lab:olvm-lun (non-flash)
tcp: [8] 10.20.82.10:3260,1 iqn.2026-10.local.lab:olvm-lun (non-flash)
36001405718343bd815446598ddfcab23 dm-3 LIO-ORG,olvmsd
size=100G features='1 queue_if_no_path' hwhandler='1 alua' wp=rw
|-+- policy='service-time 0' prio=50 status=active
| `- 8:0:0:0 sdh 8:112 active ready running
`-+- policy='service-time 0' prio=50 status=enabled
`- 9:0:0:0 sdg 8:96 active ready running
ホストは、宛先のサブネットに応じて ens19・ens20 から接続するので、経路 A・B がそれぞれ別の NIC を通ります。
iSCSI Multipathing(iSCSI ボンド)について
OLVM には、データ センターの [iSCSI Multipathing] タブで論理ネットワークとターゲットを組み合わせる「iSCSI ボンド」の機能があります。この検証で iscsi-a・iscsi-b と 2 つのポータルを組み合わせて作成したところ、各ホストのセッションが 6 本(既定の 2 本に加えて、ens19・ens20 から両方のポータルへの交差した接続)になりました。iSCSI ボンドは、選んだネットワークのすべてから、選んだターゲットのすべてに接続するためです。
ポータルが経路ごとに別のサブネットにあるこの構成では、iSCSI ボンドを使わず、ルーティング(サブネットごとの NIC)で経路を分ける方が意図どおりになります(vSphere のソフトウェア iSCSI で、別サブネットの経路ではポート バインドを使わないのと同じ考え方です)。この検証では iSCSI ボンドを削除し、各ホストを 1 台ずつメンテナンス モードにしてセッションを張り直しました。
# 各ホスト(メンテナンス モードにしてから)
iscsiadm -m session -u
iscsiadm -m iface -I ens19 -o delete
iscsiadm -m iface -I ens20 -o delete
# 管理ポータルでホストを Activate → セッションが 2 本で再接続される
iSCSI ボンドは、ストレージのポートが 1 つのサブネットにあり、複数の NIC からどのポートにも届く構成で、経路の選択をホストに任せたい場合に使います。